商家の家訓2

金堂まちなみ保存会

2012年10月20日 23:17

朝晩が冷え込むようになってきましたね風邪をひいておられる方も多いようですが、みなさんは大丈夫でしょうか?

さて、ネタがないので申し訳ございませんが、以前も書いた交流館で販売している「商家の家訓」のご案内をまたさせていただきます



今回は「三方よし」について、ご紹介します

近江商人といえば、みなさん「三方よし」とまずイメージされますが、実は「三方よし」の「売り手よし・買い手よし・世間によし」という言葉が文章になっているわけではありません

「宗次郎幼主書置」と呼ばれる遺言状に商人の心得が記されており、これが「三方よし」の原典と言われています

この遺言状は70歳になった五個荘の中村治兵衛という麻布商が、15歳の宗次郎という後継ぎに書き残したものです。治兵衛には息子がいましたが、若くして病没してしまい、その息子が遺した娘に婿を取らせて後を継がせることにした、その婿宗次郎に宛てた手紙です。

以下のような内容のことが書かれています

『たとえ他国に商売に出かけても、自分の持ち下った商品が、この国のすべての人々皆に気持ちよく着られるようにと、自分の利益ばかりを思わず、皆(お客さま)が良いようにと思い、高利を望まず、何事も天道の恵み次第と自然のなりゆきにまかせて、ただひたすらにその行く先の人を大切に思わなければならない。そうすれば、心安らかで、健康に暮らすことが出来る。常々、仏神の信心を行い、他国へ入る時には、以上のような心がけが一番大切なことである』

とても、読んでいてすがすがしく、現代に通じる内容でもあると思います

中村治兵衛に限らず、他のある商人も「売った後に少し儲けが少ないと後悔するくらいが、永い目で見ると顧客を獲得することができる」と記していたり、道中で携帯用の仏様を持ち歩く信仰心(時代もあるでしょうが)があったり、儲かったお金は神仏や皆様の御蔭と社会活動に使ったりしていたようで、多くの近江商人は感覚的に「三方よし」と呼ばれる教訓を実践していたようです。

(「商家の家訓」から「宗次郎幼主書置」の内容は引用させていただき、解説は私の感想・解釈を一部加えてあります。ご了承下さい。)

この「商家の家訓」は交流館で販売中ですまた、「近江商人博物館」でも詳しい内容が勉強できます(大変ためになります)

読書の秋にいかがでしょうか

                                           D下


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